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「ごちそうさん」ありがとう。
 朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」が終わって一週間、夫婦そろっていわゆる「ごちロス」の模様です。朝ドラ全話を観きったのはほんとうに久しぶりのことです。戦中戦後の暗い時代を背景にしながらも、コメディーとして毎回15分「泣き笑い」でもって最後までパワフルに描ききった脚本の手腕はまさに出色だと思っています。その脚本の森下桂子さんが先日「ごちそうさん」で向田邦子賞を受賞されました。最終回放送からたった4日後の選考会にて全会一致での決定であったことを聞きおよび、当然だと思うと同時にやはりうれしく思います。
 そんな「ごちそうさん」ですが、せっかく近くで撮っているのだから、と2月初旬の平日のある日、仕事の空き時間を利用して夫婦で撮影見学に行きました。窓から撮影中のスタジオを見下ろすという見学スタイル。ちょうどその日は、8月15日、終戦を迎えため衣子が和枝さん宅を去るシーンが撮影されていて、杏さん、キムラ緑子さん、おなごしさん役の小酒井円葉さんがいらっしゃいました。大きなスタジオだと聞いていましたが実際この目で見ると、所狭しと建てられたセット群に「案外狭いなあ」という印象。スタジオ奥には空襲で焼けた西門家の廃墟と焼け残った蔵というショッキングな光景が広がっています。そこには移動できるようにコマの付いたガレキの塊がいくつかあって「いろいろ工夫されているねえ」などとふたりで感心していると、眼下のめ衣子ちゃんや和枝さんたちが、こちらに向かって手を振ってくださいます。なんともいい思い出です。

「ごちそうさん」の劇中に登場した料理が紹介されている「ごちそうさんレシピブック」。1、2と二冊出ていて、二冊とも購入しました。どのレシピも家庭に通常にありそうな材料中心の構成なので、けっこう実用に使えます。


※以下のレシピ詳細はNHK「ごちそうさん」WEBページの「め衣子のごはん帳」でも紹介されています。




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め衣子の料理を再現 その1「蛸飯」
 近所のスーパーでちょうど泉州ダコの特売があったのでチャレンジしてみました。土鍋で炊き込みご飯を作るのは初めての試みでしたが、レシピブックの工程通りに素直に調理を進めると、ちゃんと完成しました。劇中大阪料理の監修者、広里貴子さんが「ごちそうさん」紹介番組の中で「大阪の料理はお金が取れる料理でなくてはと、教わってきた」というようなことをおっしゃっていましたが、なるほどこの蛸飯はまさにそんな印象です。アットホームななにわ料理の割烹にて「お代わりゆうてくださいね」と声を掛けられながら小ぶりなお茶碗で食べる蛸飯、そんな感じです。私のうちでは蛸飯には通常うすあげを合わせるのですが、こちらの蛸飯はタコのみに刻んだ生姜を合わせます。スーパーではゆでダコしか手に入らないので、タコが幾分固めなのは仕方が無いのかもしれませんが、機会があれば劇中に登場したような生ダコで再チャレンジしたいものです。




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め衣子の料理を再現 その2「牛すじカレー」
 市販のカレールーを使用せず、炒めたタマネギにカレー粉と小麦粉、劇中でお馴染みの鶏のフォン(鶏ガラの煮汁)を加えて……。フォンはさすがに常備していないので、チキンブイヨンを代用しましたが、家にある材料だけでも一から本格カレーが作れるもんだな、と調理しながらにんまり。もちろんこちらもレシピブックに書かれてある通りに進めるとちゃんと完成。炒めたタマネギと牛すじの相乗効果で思いのほか甘いカレーに仕上がりました。具だくさん、大人も子供も大満足のカレーです。隠し味にウスターソースとケチャップを使用しますが、それらがネタバレしない分量設定が絶妙。しばらくは市販のカレールーに戻れない予感です。




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番外編 その1「柿の葉寿司」
 レシピブックに作り方は掲載されていましたが、柿の葉の入手が困難なのでさすがにこれは作れません。我が家は大阪にありながら奈良の県境に近い場所に位置し、柿の葉寿司はスーパーでも入手出来ますし、さらに車で20分ほど走れば専門店にも行き当たる、柿の葉寿司ファンにはとっても便利な土地柄なのです(笑)。写真の柿の葉寿司は奈良県でチェーン展開されている「ヤマト」のもの。柿の葉寿司のお店にはたいてい「さば」と「さけ」が売られていますが、我が家は断然「さば」派です。「さけ」についてはわかりませんが「さば」の場合は、買って2日ほど置いた方が、まろやかになり味に深みが出て断然美味しいので、うちでは多めに買って、半分は当日、残りは2日後(盛夏は1日後)というように分けて楽しむようにしています。

余談ですが、私はよく飲料水を汲みに奈良県天川村に出掛けるのですが、道中よく立ち寄る柿の葉寿司店があります。大手チェーン店とは一味違う柿の葉寿司。お近くにおいでの節はぜひどうぞ。

◎やま十柿の葉すし店 奈良県吉野郡下市町
老舗の柿の葉寿司店です。下市の街道筋沿いにある小さなお店ですが、地元の人が引っ切りなしに訪れ、お持たせに大量購入している様子です。小ぶりでけっこう塩辛いのが特長です。近年は塩控えめの風潮からマイルドな柿の葉寿司が多いなか、一度は味わっていただきたいトラディショナルな柿の葉寿司です。未確認ですが「やま十」は「やまと」と読むみたいです。

◎黒滝茶屋 奈良県吉野郡黒滝村
国道309沿い、大峰山へのかかり口である天川河合の少し手前にある、このあたりでは一番大きな観光バスも立ち寄るお土産屋さん&レストラン。「土産もの屋なんだから味はイマイチに違いない」と思うなかれ。ここの柿の葉寿司はけっこうイケます。酸っぱすぎず、マイルドすぎず、ごはんの量もいい感じ。店内のお座敷でおばあちゃんが作っている姿をよく見かけます。レストランでは柿の葉寿司とにゅうめんのセットがいただけます。




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番外編 その2「日々に楽しむ極上ほうじ茶」
 美味しい料理には美味しいお茶を、というわけで、うちで日々楽しんでいるお茶を紹介します。
 信楽焼の産地、滋賀県甲賀市信楽から京都は宇治に抜ける近江グリーンロードの道中、信楽を出て少し走ったあたりから丘陵に広がる茶畑が散見されます。朝宮茶(あさみやちゃ)の産地朝宮地区です。昔は宇治茶として商われていたものが近年、独自のブランドとしてスタートしたのだそうで、宇治茶にくらべ高地で育つため、香り高いのが特長です。台湾の高山茶でもそうですが、標高が上がれば香りが増すのは日本のお茶も同様です。緑茶の場合香りが増す分、低めの湯温設定などにて渋に注意をはらうが必要が出てきます。香りと渋は比例しますからこれは仕方がないこと。ただ、ほうじ茶の場合は、ここに気を配る必要がなくなります。茶葉を丹念に焙じることで渋を出す成分がおおむね飛んでしまうからです。通常のほうじ茶は秋の剪定で出た茶葉を利用して仕上げるらしいのですが、写真の特上ほうじ茶は、春摘みの茶葉が使われるので香りの出がとてもいいようです。実際、初めてこのお茶をいただいたときは、本当にびっくりしました。まるで高焙煎の台湾茶のような香り高さだったからです。以来うちでは年中、食事時にはこのほうじ茶を飲んでいます。


茶のみやぐら
通販もやってる朝宮茶のお店です。高地にあるため新茶の販売は例年6月あたりまで待たされます。煎茶は日常用の主力商品「樋口さん家の朝宮茶」でも充分美味しいです。

by pechkana | 2014-04-07 19:58 | グルメ | Comments(0)
私たちの大阪うまいもん その6
雑兵(ぞうひょう)の味噌煮込みうどん

 うどんと記しましたが正確にはきしめんです。大阪うまいもんにきしめんとはいささかアンマッチかもしれませんが、ミナミは心斎橋、鰻谷の一本北、長堀通り沿いに店を構える「雑兵」の味噌煮込みは、紛れもなく大阪うまいもん、と私たちは思っています。4人掛けテーブルがふたつにあとはカウンターのみという、こぢんまりとした店内に飾られている、昔の新聞紹介記事によると、大阪の人の舌に合うようアレンジされてあるとのことで、確かに味噌のお味は幾分やさしめで、麺のコシも軽めです。ランチタイムの定食が充実していてお昼はけっこうな賑わい。大将と店員さんお二人だけで切り盛りされているこのお店。末永く絶品味噌煮込みを食べさせていただきたいものです。平日は午後11時オーダーストップ。不定休ですが平日はたいてい営業している印象です。



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雑兵煮込み(店名入りの一推しメニュー)

 寒い時期、時折無性に食べたくなるメニューがこれ。きざみあげ、里芋、大根、ジャガイモ、ハクサイ、蒲鉾、そして全卵。根菜中心の具材が売りの煮込みうどん。いい案配に煮込まれて出てまいります。食べ進めるうちにさらにしんなりとしてくる大根やハクサイ、食感の変化を存分に楽しみつつ味わいます。鉄鍋から金気(かなけ)が染みだし、まったりしがちなお汁にいいアクセントを与えます。私の場合、まれに牛スジを追加でトッピングすることがありますが、元のバランスがあまりにいいので、牛スジが余計に思えてしまうことも。大将にうかがうと、ふつうのきしめんとは別にわざわざ味噌煮込み専用に、塩を加えずに打った自家製麺を使っているとのこと。ふつうの麺だと塩分が染みだして汁が塩辛くなってしまうのだとか。細やかな配慮がうれしい味噌煮込み。野菜のだしが充分に出た残り汁は本当に格別で、ついつい最後までさらえてしまいます。なお鉄鍋での提供は単品メニューのみ。白ご飯が合います。

by pechkana | 2014-01-23 16:26 | グルメ | Comments(0)
私たちの大阪うまいもん その5
新世界 グリルDEN・EN

 大阪新世界での飲食といえば串カツが定番コースですが、まとまった時間も無いし、たまには違うものでも……、そんな時には「グリルDEN・EN」。大阪屈指のレトロエリア新世界だけあって、昭和テイストな雰囲気とメニューの数々がなんとも良い感じ。アンティークなレトロ空間というほど極めてない中途半端さもちょっぴり愛らしい、少なからずファンもいる、そんなお店です。そんな「DEN・EN」が昨年、ちょいと話題になりました。「あまちゃん」を超える高視聴率で進撃中の朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」の劇中に登場した「焼氷(やきごおり)」というメニューの、その元ともいうべき商品を販売していたからです。名前はそのままの「焼氷」。新世界が生まれた頃の古い資料写真のなかに「焼氷」なる珍妙なメニュー看板を見つけた地元の酒屋店主が、一昨年、ちょうど新世界開業100周年の年を記念して、そのメニューを復活させるべく、DEN・ENオーナーを含め、有志を募り知恵を絞って完成した、ということなのですが、なにしろ古いもので資料が乏しく、実際は焼いていなかったかもしれないものを、この際、焼いてしまおうと考案。これはもう復活というより紛れもなく創作、たしかにメニュー名をよく見てみると「平成の焼氷」とは書かれてあります。



朝ドラ「ごちそうさん」で話題に!「焼氷」レポート

 ドラマでは、面白いメニューを提供しつつも、今ひとつぱっとしないカフェーを流行らせようと主人公の、め衣子たちが奮闘、コーヒーシロップをかけただけで「焼いてるようにみえるでしょ」などと名前負けしていた「焼氷」を、テーマソングまで作ってプロデュース。見事繁盛店に、というものでした。「かに道楽」「とんぼり」などにみる大阪らしい「ご当地ソングネタ」を仕込んでくるあたり、さすが関西出身の脚本家、というより、リサーチとディスカッションを重ね、大阪らしさのなんたるかを探り、それを嫌味無く全国にアピールしてくださっているのであろう、NHK大阪のスタッフのみなさまには頭が下がります。



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 というわけで、やって来ました。新世界「グリルDEN・EN」。正面窓に貼られたメニュー群で店内がほとんど見えません。明らかに観光客受けを狙ったメニューの数々に混じってちゃっかり「ごちそうさん」のポスターが貼られてあります。お店に入るといらっしゃいませの後、すかさず店員さんが「焼氷ですか?」と尋ねてきます。たしかにそれが目的ではありますが、なんだかミーハーっぽくて照れくさいので「いいえまあ」などと口ごもり席に着きます。




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 天井には誇らしげに「平成の焼氷」の看板が。お昼時、お腹も空いているのでまずはご飯というわけでメニューをチェック。しかしそのメニューの数が半端ないです。毎日違うものを注文しても2ヵ月は充分いけそう、そんなメニュー数に妻もびっくり、同時期に来店したグループの男性たちはあまりのメニューの多さから「こんなん無理、きめられへん」といいながら店内をウロウロ徘徊する始末。そこで店員さんが「おんなじもん、頼んでくれたらラクやねんけど」と吉本新喜劇みたいな、笑えるやりとりが交わされます。



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「昭和30年代の超ストロング珈琲」。う〜ん、気になります! 卓に置かれた小さな占いの自販機が、懐かしテイスト。



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 上の写真は牛カツ定食です。マイソース付きなので二度漬けも大丈夫。お味はまあまあ。もうひとつはカツチャーハン。ここの変わりメニューの多くがこのような強引合わせワザで成り立っているわけですが、これはこれで、いけます。とっても。デミグラスソースがグッドです。



 食事も終わっていよいよ「焼氷」です。私たちのすぐ後に来店したおにいちゃん一人客にも「焼氷ですか?」と聞く店員さん。「はい」と小声で答える一人客。「じゃあ、こっちの席に」と壁側の席にご案内。どうして、と不思議そうなそぶりの一人客に店員さんが「火を点けるときに明かりを消すんで、ここで」とのこと。なるほど。また、焼氷なのかよ、というニュアンスなのではないかと勘違いしておりました。反省です。偶然壁側の席に陣取っていた私たちも「やっぱり」などと焼氷を注文。



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 やってきました「焼氷」。氷、というよりコーヒーカップに入ったアイスクリーム的な外観です。壁際席の上の明かりを消してチャッカマンで点火。うれしいサービス。ペアで1個の注文なれど、あとからちゃんとスプーンをふたつ置いてくださいました。直前にかけたシロップにお酒が仕込んであるようで、青白い炎が幻想的です。表面が燃えるだけでなく、シロップがいい感じに焦げて、美味しそうな香りが漂います。



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 火が消えたのでいよいよ試食。どこが氷なのか?と先走ってアイスクリームをめくってみると、そこにはフローズン苺。氷はその下にあるようです。アイスクリーム&苺と、カラメル&ブランデーの(推測)甘いソースの取り合わせがいい感じです。ソースはカップを受けたお皿にもなみなみ入っているので、スプーンですくってかけながら食べます。アイスクリーム、苺、かき氷の三変化にて最後まで美味しくいただけます。

 火を点けてくれた店員さんにうかがったところ、ドラマで「焼氷」エピソードが放送された翌週あたりは、けっこうなお客さんで、材料不足から「今は無理なので夕方にまた来てください」ということもあったとか。あとそれとなくNHKのことを聞いてみると「ドラマとこの焼氷は全く関係ないです。ごちそうさん関係の取材もありませんでした」とのこと。NHKの取材が無かったとは意外ですが、焼氷の多層構造といい、その丸い看板といい、はたまたここのメニューへの探究心といい、劇中カフェーとお冷やのコップが同じもの(さすがにこれは偶然かも)、などなど覆面取材にて、いろいろ参考にしているであろうフシは多々見受けられたのでした。ちなみに「平成の焼氷」はひとつ700円。冬でもやってます。

by pechkana | 2014-01-06 18:40 | グルメ | Comments(0)
私たちの大阪うまいもん その4
うさみ亭マツバヤ

 南船場に事務所を構えていた頃、よく訪れていた近くのおうどん屋さん「松葉家」。食通の間では有名なお店ということで、それ以前、西心斎橋にて事務所勤めの頃からお昼時に「今日は松葉屋行ってみよか?」などと仕事仲間とよく遠征したものです。「うさみ亭マツバヤ」として再オープンしてからも、変わらず「ごちそうさん」させていただいている、大阪うどん名店中の名店です。



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おじやうどん

 ここはきつねうどん発祥のお店ということで有名ですが、地元のお客さんのほとんどが、きつねうどんには目もくれず、この「おじやうどん」を注文します。松葉家といえばおじやうどん、これは南船場、いや大阪の常識。おじやとはもちろんあの、雑炊的な食べ物のこと。「おじや」はベッタリ「雑炊」はサラサラ、などとこだわりの向きはありましょうが、ここの「おじやうどん」はうどん出汁にサラサラ雑炊プラスおうどん、という感じでしょうか。なかには「具材、おうどん、ごはんの順で三層構造になっているのだ」と主張されるお客さんもいらっしゃいます。熱々の鉄鍋に、具材は、あなご、しいたけ(もどし)、きざみあげ、かまぼこ、全卵。薬味に、青ねぎ、紅生姜がのっかります。通常サイズと大サイズがあります。出汁のお味は関西風とはいえ若干濃いめかもしれません。おうどんのコシは軽め。紅生姜がまったりのなかでいいアクセントになります。甘めに煮いたしいたけを頬張り、残り汁のなかの紅生姜をれんげですくって噛みしめるのが、私の毎度のお楽しみです。




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 手持ちの古雑誌に載っていました。1975年の雑誌「non・no」大阪グルメ特集から2ページを割いて「松葉家」が紹介されています。メイン写真はもちろん「おじやうどん」。昔と変わらぬ味、お店の雰囲気、とはいえ、詳しい事情は存じ上げませんがどうも現在のあのカタカナ店名は個人的に馴染めません。歴史ある大阪文化のひとつとして、また以前の看板を掲げていただける日が来ることを切に願っています。

by pechkana | 2014-01-03 04:07 | グルメ | Comments(0)
私たちの大阪うまいもん その3
鉄火丼の名店、魚重

「魚重」は大阪ミナミアメリカ村のなか、大丸百貨店駐車場東側の雑居ビルの1階でひっそりとたたずむ、知る人ぞ知る名店です。最近の食べログなどを見ますと、近年オープンしたお店のように紹介されていますが、実際はそうではありません。私が社会人になった1984年にはすでに、老舗の風情で営業されていましたから、けっこうな歴史のあるお店であると思われます。以前は同じビルの1階部分をまるまる使った、そこそこの大きさのお店でした。観音竹が飾られたタイル張りの店内。入口あたりに設置された大きな水槽に泳ぐ錦鯉。カウンター上部に何枚も飾られた小松崎茂画伯の描いた日本海軍戦艦の絵。当時のそんな情景が今も時々思い出されます。旧店舗が取り壊され工事に入ったとき「もう食べられないのかな」と悲しい気持ちになりましたが、その後うれしいことに復活。現在はカウンターのみ5席ばかりの小さなお店ですが、鉄火丼のお味は昔と何ら変わりません。末永く続いていっていただきたいお店です。




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魚重の鉄火丼

 我が生涯一の鉄火丼。聞いてはいませんが妻もきっと同じであろうと思います。鉄火の赤を見事に表現したマグロの切り身はヅケであるとのことですが、さほど味が染みた風でもなくされど生っぽくもないちょうどいい感じ。箸で容易に切れる柔らかさです。ごま風味の醤油ダレはごまが主張せず隠し味の範疇。マグロとごはんの間に敷かれたもみ海苔が不愉快に箸にまとわりつくことなく、ちょっと多いかなと思われるわさびも、混ぜ合わせるとちょうどいい分量。何かが勝るわけでもなくそしてすべてが足りている。配置も絶妙。これぞまさに小宇宙。暖かなごはんと常温の鉄火が織りなす温度差さえもうれしいアクセント。文句なし、いわばストレスフリーの鉄火丼です。生もの系なのに、食欲の無いときにぜひに食べたい一品といえます。ああ、食べたくなってきた!
 付近のショップ店員さんにも人気のお店みたいで、お昼時はちょっと並ぶことになります。量は少々少なめのいわばレディスサイズですが、マグロの枚数とごはんの量は増量可能です。写真はまぐろ、ごはん共に増量版です。赤出しが付きます。時折、中トロ版がやや高め価格で登場しますが、スタンダードでも充分美味しいです。残念なことに日・祝はお休みです。

by pechkana | 2014-01-01 07:03 | グルメ | Comments(0)
私たちの大阪うまいもん その2
大阪カレーの代表的存在。インデアンカレー

「インデアンカレー」は大阪市内で数店のチェーン店を持つ、大阪人なら知らない人はまずはいないカレーショップの老舗です。大阪にカレーの名店は数あれど、大阪のカレーを語るならまずはここ、というところで異論はないのではないでしょうか。一口食べれば広がる甘み「甘ったるいカレーやな」と侮っているとすぐに襲ってくる強烈な辛さ。甘い、けど辛い、これぞ大阪のカレーです。そしてルーのなかにしっかりとした存在感を示す角切りのビーフたち。近年、席巻著しい中部発「ココイチ」のポークソースもいいけれど、カレーといえばやっぱりビーフ、ビーフカレーであります。「福島上等カレー」「マドラスカレー」など、地元の人気カレーチェーンのカレーが往々にして甘いのは、この「インデアンカレー」の存在あればこそ、とは個人的見解ではありますが、気になるのはやはりその甘みの秘密。どうもフルーツの甘みだけでは無さそうに思います。あごの裏に直接響くというのか、深みのある甘みというよりももっと直接的な甘さ。全くの憶測ですが、水飴なんぞを大量投入しているのではないのか、などと考えを巡らし有余年。謎が解けることはありません。
 なお、関西以外では東京は丸の内にも出店しています。




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インデアンカレー(たまご入り)

 ビーフたっぷりなれど、ことさら「ビーフカレー」と表示されていないところが素敵です。けっこう辛いので「たまご入り」で注文することをお勧めします。卵は黄身のみをすくってライスに載せられその上からルーがかけられる方式。白身のぬめった感じが嫌、という人でも大丈夫です。




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カレースパゲッティ

 私の場合はいつもこれです。カレーライスの、ルーと一緒に食することで生まれるあのライスの甘みとそのハーモニー。それはそれでもちろん格別なのですが、ルーの持ち味をストレートに感じさせてくれるスパがけは、一度ハマってしまうともう、とりこ。卵は載せず、ガツンとストレートに楽しみます。スパゲッティはナポリタンなどに使われる太めのソフト麺です。まとめて湯がいて電子ジャーにて保存、注文の都度軽く炒められるようです。写真は「スパ大」麺のみ大盛りです。なお、スパゲッティは小さい店舗では扱っていません。


 ちなみに
 ここの常連さんの多くは省略呼び名で注文します。
 いくつかの例を書き出してみましょう。

 大(だい)・・・カレーライス、ライス大盛り
 大玉(だいたま)・・・カレーライス、ライス大盛り卵のせ
 スパ大・・・カレースパ、麺のみ大盛り
 目玉(めだま)・・・カレーライス、卵2つ載せ
 ダブル・・・カレーライス2杯分を一皿に。価格も倍




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インデアンカレーのピクルス

 西洋のキュウリの酢漬けをピクルスと呼びますが、ここでの「ピクルス」はキャベツの酢漬けです。ドイツのザワークラウトにちょっと似ていますが、お味は微妙に違います。憶測ですが、お酢に加えて、水飴、昆布だし、少量のからしが入っているように感じられます。カレーやスパを注文すれば付いてきます。写真は大盛り(50円アップ)です。お酢の物が苦手な私でも、美味しいのでじゃんじゃんいけます。

by pechkana | 2014-01-01 06:57 | グルメ | Comments(2)
私たちの大阪うまいもん その1
はり重のデミグラスソース

 道頓堀と御堂筋の角「はり重」はいわずと知れた大阪の名店です。牛肉専門店であり、すき焼きのお店としても有名ですが、ここでは客の事情に合わせて三つの飲食店を展開しています。二階に上がっての一人前1万円超覚悟のすき焼き専門店、道頓堀松竹座側にあるステーキなど2千円超メニュー中心のグリル、そして御堂筋に面した廉価なメニューのカレーショップです。地元ではどちらかというと高級なイメージを持たれている「はり重」ですが、隣接して一人前700円前後で食べられる洋食屋が同居しているところが、なんとも大阪らしいです。東京ではよく「この値段ならこんなもの」と価格で味の優劣を決める発言が聞かれますが、こと大阪に限っては、そのような考えは全く通用しません。「高いもん出すのが店の都合なら、安いもんを出すのも店の都合」あとは客がその時の諸事情に合わせてどうするか決めるだけで、それに向けてしっかり博打を打つのが商売というもの。そんな大阪の当たり前かつクールな思考への答えがこの店構えにはよく現れていますし、それでいて店の高級なイメージも崩れていないところが、大阪のよさといえばよさであります。
 そこで、ちゃっちゃと食事、ということであれば、ここでは迷わずカレーショップへ直行、ということになります。観光で訪れる方がよく店名につられてカレーを注文されるようですが、地元の者はまずカレーは注文しません。ここでの売りはなんといっても、デミグラスソース。デミグラスソースがかかっている料理はカツ類です。そのなかで、ここでの王道といえばやっぱり、ビーフカツ、大阪風にいえば「ビフカツ」でしょうか。ほかにもミンチカツやトンカツもありますが、このデミグラスソースがかかっている限り、もちろんどれも美味しいのです。




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もう堪らない旨さ。はり重のトンカツ

 酸っぱさ控えめにして少々甘め。ほんのり焦がしのビターさと、ほんの少しシナモンあたりの香辛料の風味が加わった絶妙バランスのデミグラスソース。私が初めてこのソースに出会ったのは、かれこれ30年も前のこと。新入社員として初出勤した日のランチで事務所の先輩がごちそうしてくださった「ビフカツ」。なんて美味しいものがこの世にはあるのか、なんだこのソースは! 掛け値なくそんな風に思ったのです。以来、自腹でビフカツは無理なので、ずっとトンカツにて今日に至っているわけですが、ちょっと脂っこい豚肉とソースのマッチングがこれまた絶妙で、今ではむしろビフカツよりトンカツ派、との考えにまとまっている次第。
 カツはトンカツ専門店に見られるような厚めのものではなく、揚げたときにぐにゃりと反ってしまうくらいの薄いものでありますが、その肉の薄さも含めて完成された逸品だと思っています。ライス付き。ちなみに妻はいつもミンチカツを注文します。ミンチカツはトンカツに比べ少しあっさり目の味わい。このあたりはお好み次第で、というところでしょうか。




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はり重名物、ビーフワン

 変なネーミングですが一般的にいうところの他人丼です。大阪では肉といえば牛肉。よって他人丼は街の食堂定番メニューのひとつに数えられます。さすが牛肉専門店だけあって、使われている牛肉は柔らかく、三つ葉との取り合わせが上品です。他人丼のお手本ともいえる美味しさを、機会があればぜひ味わっていただきたいものです。
 ちなみに、「はり重」のお店はあと2店が、心斎橋とアメリカ村にあります。ひとつは大丸百貨店内のイートイン、もうひとつが御堂筋沿いOPAと日航ホテルの間を西に入って2筋目の角にある大宝寺店2階のレストランです。落ち着いて食べるなら大宝寺店のレストランがお勧めです。メニュー名「トンカツ」が「ポークカツ」と道頓堀本店とは呼び名が違ったり、付け合わせがちょっと異なったり、お値段もほんの少し違ったりするようですが、メインのお味のほうは同じです。

by pechkana | 2014-01-01 06:32 | グルメ | Comments(0)
Happy New Year !
明けまして
おめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願いいたします。

皆さまにとって本年が
幸せで特別な一年でありますよう
お祈りいたします。


NHK 朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」が
面白いです。
小気味の良いテンポで進む物語のなかで
主人公め衣子の
食べっぷりのよさもさることながら
登場する大阪の料理たちも
すこぶる素敵で
毎日とってもいい気分。
昨年は「和食」がユネスコ
無形文化遺産に登録、という
うれしいニュースもありましたし
自分のなかでは、
ちょっとした料理ブームが
巻き起こっております。
とはいえ、
私自身、そもそも食べることに
さほど執着しない類の人間。
ごはんを食べる時間がもったいない、
三度の食事は宇宙食みたいなものでも平気かも、
なんて考えていた時期も過去にはありましたし
今でも少しはそう思っていて、
そうはいっても人間おなかは空くし
どこかで何かを食べなくてはならず、
しかも、食べることに真っ当に執着心のある妻が
となりに控えているので
昼に夕に、職場のある大阪ミナミ界隈を
ふたりで徘徊し
奇しくも食のあるべき姿を探求することに
なっているのでございます(笑。

地元のひとは
みんな知ってる
超定番!
大阪のうまいもん。

ちゃっちゃと食べられる
美味しい大阪ごはん。

年始早々ではありますが
そのあたりをテーマに
唐突ではありますが
これから
特集してみようと思います。
スマホ導入以来
コツコツと撮りだめてきた
写真たちに解説を付けて紹介します。
よく「~の口(くち)になる」
なんていいますよね。
初めて食べた時には
特に感動を覚えたわけでは無いけど
何度か通ううちに、
無くてはならない
お馴染みの味として記憶される。
「口」が覚えている、
そんなお店、そんなメニュー。
これから紹介するのは
おそらく地元のひとには
今更紹介? といわれてしまうお店ばかりですが
口がしっかり味を覚えていて
思い出すだけでじんわり唾が染み出す
私たちの大切な
超定番なのです。
by pechkana | 2014-01-01 06:27 | グルメ | Comments(0)