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謝謝台湾 その2
前回からずいぶん間が空いてしまいましたが
台湾のこともう少し続けたいと思います。



台湾で再発見! 関東煮考


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 関東煮(かんとだき)とは、関西で言うところの、おでんです。そんな関東煮の歴史を、今までに持ち得た情報を元に、まずは私なりに推理してみました。

 大正12年、関東大震災のおり、関西からの救援の炊き出しで出されて好評を得た大鍋料理が関東煮のルーツと言われている。大阪ミナミのおでん屋「たこ梅」の人気メニュー「広東煮(かんとだき)」にあやかり、おそらく新聞記者あたりが、当時の大阪において少々聞き馴染みの薄かった「関東」という言葉に引っかけて、「広東煮ならぬ関東煮」と命名(ちなみに関西人は関東を「かんと」と省略呼びはしません)。じきに「関東煮」は仕込みの手軽さから、大阪を中心に居酒屋メニューとしてブレイク、その後定着し全国に普及。東京においては江戸時代以来のテイクアウトメニューだったおでんと融合し、関西の薄味を意識した東京の料理人により「汁まで飲み干せるおでんを」との掛け声のもと生まれたのが今あるおでんの姿で、以後100年経って、コンビニを中心にこの「薄味」おでんは着実に勢力を伸ばし、ついに関東煮を駆逐して全国を制覇したのだった。

 今大阪で若い子たちに「関東煮」といっても「なにそれ」と返されることがしばしばです。ウィキペディアでおでんの項を紐解けば「関東煮の名称は昭和40年頃まで使われた」とある。おいおい、わが家では今でも関東煮って呼んでるし、おでんってのはそう、赤塚不二夫作「おそ松くん」に出てくる、チビ太がいつも持っている、謎のあれ、でしょう、と一関西人は少々熱くなる。思えば、関西の老舗蒲鉾メーカーが「かねてつのおでん種」などと売り名を連呼したあたりから「関東煮」呼び名の衰退は始まっていたのだ。

 そんな「関東煮」の文字を台北の夜市で発見したのは台湾に初めて訪れたおりのこと。一関西人としてなんだかちょっとうれしくなりました。当の関西では風前のともしびの関東煮呼び名がここでは今だ息づいていたのです。字こそ繁字体ではあるけれども、これはまさしく関東煮。




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 その後、台北のいろんなところで関東煮の看板を目にしました。見たことも無いような黒い汁のものもあるにはありますが、おおむね日本の「薄味」おでんの体裁です。大きなコンビニ店舗へ行けば、日本では見られないほどの大スペースをとった、関東煮バイキングコーナーがあったりもします。このおでん、他にも呼び名はあるようですが、親日の台湾では「日式」「北海道」など日本ブランドが頻繁に商売に使われることから、おそらく関東煮もそのひとつではないかと思われます。一度 youtube にて「台湾 関東煮」で検索してみてください、日本で撮影されたあったかドラマ仕立のセブンイレブンの関東煮CMを覧ることが出来ます。ちなみにこの写真は駅ナカのコンビニ。関東煮、かなりメジャーです。




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 夜市の屋台にて、関東煮発見。幾分練り物の割合が高そうですが、ロールキャベツもありますね。この黒いのは何でしょうか。注文票をもらい、食欲をそそる風な字面のメニューに数を書き込み注文してみる。




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 出てきたのがこれ。なんだ練り物ばっか。失敗です。カラシは無くオイスターソースのようなものが入った小皿を渡される。かなり薄味です。




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 ところ変わって花見の時期、大阪西区にて。とりあえず関東煮の名は今も健在です。
 私的にですが、関東煮とおでん、実は全くの別物なのではないかと思うことがあります。そしてまた昔懐かしい関東煮はとうに姿を消しているのではないかとも感じることがあります。
 こどもの頃、母が作る関東煮は、大量の牛スジでダシを取るコッテリ料理の代表格でした。食欲の無いときには台所から漂ってくる濃厚な関東煮の匂いにしばしばゲンナリしたものです。同じ頃、外の世界で見知った関東煮のイメージも、家のそれとさほど変わらなかったと記憶しています。屋台、子供会にて、学校のバザーなどなど。呼び方もふつうに「かんとうだき」でした。「かんとだき」と言うひとに出会い薄味の関東煮を初めて食べたのは、1980年代、大阪ミナミにて社会人になってからです。ネットの情報は各所で修正が加えられたりウラを取ったりで、どんどん純化していきますが、文化は往々にして、こんな具合にあいまいなものなのではないかと思います。




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 こちらも大阪西区。うどんチェーン店「つるまる」にて。こだわりのネーミングです。汁の色は濃いめで、味は甘めです。

by pechkana | 2013-06-18 16:07 | | Comments(0)
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