新世界 グリルDEN・EN
大阪新世界での飲食といえば串カツが定番コースですが、まとまった時間も無いし、たまには違うものでも……、そんな時には「グリルDEN・EN」。大阪屈指のレトロエリア新世界だけあって、昭和テイストな雰囲気とメニューの数々がなんとも良い感じ。アンティークなレトロ空間というほど極めてない中途半端さもちょっぴり愛らしい、少なからずファンもいる、そんなお店です。そんな「DEN・EN」が昨年、ちょいと話題になりました。「あまちゃん」を超える高視聴率で進撃中の朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」の劇中に登場した「焼氷(やきごおり)」というメニューの、その元ともいうべき商品を販売していたからです。名前はそのままの「焼氷」。新世界が生まれた頃の古い資料写真のなかに「焼氷」なる珍妙なメニュー看板を見つけた地元の酒屋店主が、一昨年、ちょうど新世界開業100周年の年を記念して、そのメニューを復活させるべく、DEN・ENオーナーを含め、有志を募り知恵を絞って完成した、ということなのですが、なにしろ古いもので資料が乏しく、実際は焼いていなかったかもしれないものを、この際、焼いてしまおうと考案。これはもう復活というより紛れもなく創作、たしかにメニュー名をよく見てみると「平成の焼氷」とは書かれてあります。 朝ドラ「ごちそうさん」で話題に!「焼氷」レポート ドラマでは、面白いメニューを提供しつつも、今ひとつぱっとしないカフェーを流行らせようと主人公の、め衣子たちが奮闘、コーヒーシロップをかけただけで「焼いてるようにみえるでしょ」などと名前負けしていた「焼氷」を、テーマソングまで作ってプロデュース。見事繁盛店に、というものでした。「かに道楽」「とんぼり」などにみる大阪らしい「ご当地ソングネタ」を仕込んでくるあたり、さすが関西出身の脚本家、というより、リサーチとディスカッションを重ね、大阪らしさのなんたるかを探り、それを嫌味無く全国にアピールしてくださっているのであろう、NHK大阪のスタッフのみなさまには頭が下がります。 というわけで、やって来ました。新世界「グリルDEN・EN」。正面窓に貼られたメニュー群で店内がほとんど見えません。明らかに観光客受けを狙ったメニューの数々に混じってちゃっかり「ごちそうさん」のポスターが貼られてあります。お店に入るといらっしゃいませの後、すかさず店員さんが「焼氷ですか?」と尋ねてきます。たしかにそれが目的ではありますが、なんだかミーハーっぽくて照れくさいので「いいえまあ」などと口ごもり席に着きます。 天井には誇らしげに「平成の焼氷」の看板が。お昼時、お腹も空いているのでまずはご飯というわけでメニューをチェック。しかしそのメニューの数が半端ないです。毎日違うものを注文しても2ヵ月は充分いけそう、そんなメニュー数に妻もびっくり、同時期に来店したグループの男性たちはあまりのメニューの多さから「こんなん無理、きめられへん」といいながら店内をウロウロ徘徊する始末。そこで店員さんが「おんなじもん、頼んでくれたらラクやねんけど」と吉本新喜劇みたいな、笑えるやりとりが交わされます。 「昭和30年代の超ストロング珈琲」。う〜ん、気になります! 卓に置かれた小さな占いの自販機が、懐かしテイスト。 上の写真は牛カツ定食です。マイソース付きなので二度漬けも大丈夫。お味はまあまあ。もうひとつはカツチャーハン。ここの変わりメニューの多くがこのような強引合わせワザで成り立っているわけですが、これはこれで、いけます。とっても。デミグラスソースがグッドです。 食事も終わっていよいよ「焼氷」です。私たちのすぐ後に来店したおにいちゃん一人客にも「焼氷ですか?」と聞く店員さん。「はい」と小声で答える一人客。「じゃあ、こっちの席に」と壁側の席にご案内。どうして、と不思議そうなそぶりの一人客に店員さんが「火を点けるときに明かりを消すんで、ここで」とのこと。なるほど。また、焼氷なのかよ、というニュアンスなのではないかと勘違いしておりました。反省です。偶然壁側の席に陣取っていた私たちも「やっぱり」などと焼氷を注文。 やってきました「焼氷」。氷、というよりコーヒーカップに入ったアイスクリーム的な外観です。壁際席の上の明かりを消してチャッカマンで点火。うれしいサービス。ペアで1個の注文なれど、あとからちゃんとスプーンをふたつ置いてくださいました。直前にかけたシロップにお酒が仕込んであるようで、青白い炎が幻想的です。表面が燃えるだけでなく、シロップがいい感じに焦げて、美味しそうな香りが漂います。 火が消えたのでいよいよ試食。どこが氷なのか?と先走ってアイスクリームをめくってみると、そこにはフローズン苺。氷はその下にあるようです。アイスクリーム&苺と、カラメル&ブランデーの(推測)甘いソースの取り合わせがいい感じです。ソースはカップを受けたお皿にもなみなみ入っているので、スプーンですくってかけながら食べます。アイスクリーム、苺、かき氷の三変化にて最後まで美味しくいただけます。 火を点けてくれた店員さんにうかがったところ、ドラマで「焼氷」エピソードが放送された翌週あたりは、けっこうなお客さんで、材料不足から「今は無理なので夕方にまた来てください」ということもあったとか。あとそれとなくNHKのことを聞いてみると「ドラマとこの焼氷は全く関係ないです。ごちそうさん関係の取材もありませんでした」とのこと。NHKの取材が無かったとは意外ですが、焼氷の多層構造といい、その丸い看板といい、はたまたここのメニューへの探究心といい、劇中カフェーとお冷やのコップが同じもの(さすがにこれは偶然かも)、などなど覆面取材にて、いろいろ参考にしているであろうフシは多々見受けられたのでした。ちなみに「平成の焼氷」はひとつ700円。冬でもやってます。
by pechkana
| 2014-01-06 18:40
| グルメ
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